こころ2026.08.30読了目安 4分
「心のブロック」って、なんですか?——あなたを守った仮設の支柱
文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点
- 心のブロックは、かつての自分を守るために立てた「仮設の支柱」
- 役目を終えても残るのは、支柱を立てたこと自体を忘れているから
- 大切な価値観か、昔の仮の壁か——まずは見分けるところから
- 住まいの中の「手をつけられない一角」が、見分けのヒントになる
「心のブロックを外しましょう」と言われても、そもそもブロックって何ですか——そう聞かれることがあります。今日は、私の仕事の根っこにあるこの言葉を、建築のたとえを借りながらご説明します。読み終えるころには、ブロックを悪者ではなく、かつての味方として眺められるはずです。
ブロックは、あなたを守った「仮設の支柱」
建物をつくるとき、工事中の床を下から突っ張って支える「仮設の支柱」を立てます。コンクリートが固まるまでのあいだだけ働く、仮の柱です。細くて頼りない見た目ですが、これがなければ工事は進みません。
心のブロックも、私はこれに近いものだと考えています。
たとえば子どものころ、思ったことを口にして強く叱られた日があったとします。その日、心は「黙っていたほうが安全だ」という支柱を、そっと立てます。心理学では、こうした反応を自分を守るための働きとして説明します。当時のその子にとっては、まぎれもなく正しい判断だったのです。
つまりブロックは、あなたを邪魔するために生まれたのではありません。あなたを守るために生まれた。ここが出発点です。

役目を終えた支柱が、立ったまま残っている
仮設の支柱は、コンクリートが固まったら外します。外さないままでいると、部屋の真ん中に柱が立ち続け、家具も置けず、人も通れません。
心の中では、この「外す」がなかなか起きません。10歳のときに立てた支柱を、40歳のいまもそのまま使っている。そんなことが、ふつうに起こります。理由は単純で、支柱を立てたこと自体を、もう覚えていないからです。
そしてもうひとつ、やっかいなことがあります。建物には、構造を支える耐力壁と、部屋を仕切るだけの間仕切り壁があります。図面を見ないと、この二つは見分けがつきません。心も同じです。「これは私の大切な価値観」なのか「昔つくった仮の壁」なのかは、内側からは驚くほど見分けにくいのです。
ですから、力任せに壊す必要はありません。まず、どちらなのかを確かめる。そこから始めます。

見分けるヒントは、家の「触れない一角」
図面のかわりになるものが、じつは住まいにあります。
風水では、住まいはそこに暮らす人の状態を映すもの、と考えます。私が拝見してきた住まいにも、たいてい「なぜか手をつけられない一角」がありました。何年も開けていない引き出し、見ないふりをしている棚の上。片づけの話をしたときにも触れましたが、物を選ぶ手が止まる場所には、たいてい理由があります。
見分けるときは、この三つを目安にしてみてください。
- 手が止まる場所はどこか——理由なく後回しにしている一角
- 気持ちが強く動くか——大切な価値観は静かで、仮の壁は触れられると波立ちやすい
- 主語が過去にないか——「昔こう言われたから」で説明できるものは、当時の支柱かもしれません
引き出しをひとつ開けてみる。それだけで、自分の中の何が固まっていて、何が仮のままなのかが、少し見えてきます。
今日のひとこと行動
「なぜか手をつけられない一角」を、ひとつだけ思い浮かべて、書き出してみる。
外さなくて大丈夫です。今日は名前をつけるところまで。長く立っていた支柱ほど、外れるときはあっけないものですよ。
残暑の残る時季ですから、涼しい時間にひと息つきながらで十分です。心の重さが続くようなら、無理をせず、気になるときは専門家にご相談くださいね。

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士
建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール

