天地結 まほろばや

住まい2026.10.30読了目安 4分

冬じたくは玄関から——濡れた靴とコートに「一晩の一時置き場」を

文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点

  • 冬の玄関は、湿った靴・冷えたコート・マフラーが持ち込む湿気と冷えの集まる場所。湿ったまま靴箱にしまうと、カビとにおいのもとに
  • 一晩だけ乾かす「一時置き場」を決める。たたきの端に靴一足分の空き、壁にフックひとつで十分です
  • 動線は「靴を脱ぐ→コートを掛ける→手を洗う」の順に短く。短いほど、玄関に物があふれにくい
  • 風水では玄関を氣の入口と考えます。濡れたものの置き場を決めてあげると、玄関の氣を軽く保てます

朝の参拝から戻って、玄関で靴を脱ぐ。この時期、土間のたたきに足をおろすと、ひやりとした冷たさが足の裏から上がってきます。靴底を見ると、参道で拾ってきた落ち葉がひとつ、朝露で貼りついている。ああ、玄関にも冬が来はじめたな、と思う瞬間です。今日は、濡れた靴と冷えたコートを「一晩だけ置く場所」を玄関につくる、という冬じたくのお話をしますね。

冬の玄関には、湿気と冷えが集まります

外から帰ってきた人は、思っている以上にいろいろなものを連れて帰ってきます。雨や朝露で湿った靴。外気ですっかり冷えたコート。首元の湿り気を吸ったマフラー。冬の玄関は、外から持ち込まれた水分と冷えが、まず集まる場所なんです。

設備の設計をしていると、水分の扱いでいつも考えることがひとつあります。乾く場所を決めていない水分は、どこかにたまる、ということです。湿った靴をそのまま靴箱にしまうと、扉の中で水分の行き場がなくなります。カビとにおい、革靴なら型くずれや白いシミのもとになるのはこのためです。コートを着たまま居間まで入れば、ほこりや排気の汚れ、外の冷えも一緒に部屋へ運ばれていきます。

乾く場所を決めていないものは、たまる。

風水では、玄関を氣の入口と考えます。そして、湿気と乱雑さは玄関の氣を重くする、と。難しく考えなくても、帰ってきたとき、脱ぎ散らかした靴と湿ったコートが目に入るより、すっきりしたたたきが見えるほうが気持ちは軽いですよね。濡れたものを「ここにとどめておく」と場所を決めてあげること。それだけで、玄関の氣は軽く保てると私は考えています。

色づき始めた参道。帰り道の靴底に、落ち葉がひとつ

一晩だけの「一時置き場」をつくる

必要なのは、立派な収納ではありません。濡れたものが一晩で乾いて、翌朝あるべき場所へ戻っていくための、小さな仮の席です。

持ち帰るもの一晩の置き場翌朝すること
湿った靴たたきの端に、一足分の空きを決めておく。中に丸めた新聞紙か乾燥剤を入れておく乾いていたら靴箱へ。湿りが残っていたら、今日は別の一足を履く
冷えたコート玄関の壁にフックひとつ、ハンガー1本。「コートの一晩席」肩を軽くブラシで払って、クローゼットへ
マフラー・手袋靴箱の上にかごをひとつ乾いたものをかごから取って、そのまま出かける

靴は「一日おき」が長持ちの近道

靴の中の湿り気は、一晩では抜けきらないことがあります。同じ靴を毎日履かずに、二足を一日おきに回すだけで、においも傷みもずいぶん違いますよ。靴箱の扉は、朝出かける前に少し開けて、日中は風を通しておく。閉めきった靴箱は、湿気のいちばんの居場所ですから。

動線は、短いほど散らからない

帰宅して、靴を脱いで、コートを掛けて、手を洗う。この流れが玄関のまわりで短く完結するほど、物は家の奥へ入り込まずにすみます。コート掛けが二階の寝室にあると、コートは途中のソファに置かれる。そういうものなんです。フックは、靴を脱いで一歩のところに。それが「一時置き場」のいちばんの条件です。

先日の窓まわりの記事でも触れましたが、玄関の換気口は寒くてもふさがずに、湿気を追い出す換気の通り道として働いてもらいましょう。

靴を脱いで、コートを掛けて、手を洗う。動線の終わり

今日のひとこと行動

今夜帰ったら、たたきの端に靴一足分の空きをつくり、コートを掛けるフックの位置をひとつ決める。

フックは、まだ付けなくていいんです。「ここに掛けよう」と壁を見て決めるだけで、明日の帰り道の動きが変わります。乾いた靴に足を入れて、ほこりを払ったコートを羽織って出かける朝は、それだけで少し軽い。冬じたくは、暖房より先に、玄関のこの小さな席から始めてみてください。

来週には立冬。紅葉の便りが山から里へ下りてきて、木枯らしの知らせも聞こえはじめるころです。朝いちばんの空気が乾いてきて、たたきの冷たさも日ごとに増していきます。玄関で靴ひもを結ぶ指先が冷たく感じられたら、手袋はかごの定位置に。朝の支度が、ひとつ軽くなりますよ。

Ray

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士

建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール

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