住まい2026.09.02読了目安 4分
実は、開けてはいけない窓もある——「開けない判断」も家を整える技
文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点
- すべての窓を開ければよい、ではありません。選ぶことも、整えることのうち
- 隣家と向かい合う窓・道路側の窓は、時間帯と開け幅で加減する
- 北側の窓は、雨の日に開けるより換気扇のほうが湿気が抜けます
- 開けない窓にも、光と手入れは届けておく
先日、朝いちばんの換気のお話をしました。すると「では、家じゅうの窓を全部開けたほうがいいのですか」と聞かれることがあります。答えは、いいえ、です。今日はその例外——「開けない」という判断のお話をします。
風は、通せば通すほどよいわけではありません
風水では、氣は風とともに巡ってくると考えます。ただし、風ならなんでもよいというわけではありません。まっすぐ強く吹き抜ける風はかえって氣を乱すと考え、ゆるやかに曲がりながら家をめぐっていく風をよしとします。家相で窓の位置を見るときも、方位や外の状況と合わせて読んでいきます。
建築の側でも、じつは同じことを考えています。換気の計算では、入れる空気の量だけでなく、その空気の質も見ます。外の空気のほうが条件が悪いなら、取り入れないほうがいい。設備設計では「外気を入れない」という選択も、れっきとした設計のうちなのです。
窓を開けるのは、外とつながること。つながる相手をよく見て、今日はつなぐ、今日はつながない、と決める。これは家を閉ざすことではなく、家の呼吸を自分の手で選ぶということだと、私は考えています。

「開けない判断」が働く、五つの場面
日本の住まいはお隣との距離が近く、道路も敷地のすぐそばにあります。そのスケール感で考えると、開け方を加減したい窓が見えてきます。
| 窓の場所・条件 | 開け方の考え方 |
|---|---|
| 隣家の窓と正面から向かい合う | 全開にせず、上部だけ、または十センチほど。お互いの視線・生活音・調理の匂いへの配慮が先に立ちます |
| 道路や駐車場に面している | 交通量の多い時間帯は閉めておき、早朝や夜に開ける。砂ぼこりと排気を室内に呼び込まずにすみます |
| 花粉・黄砂・強風の日 | その日は窓を休ませて、換気扇や空気清浄機に任せる。風が強い日は建具の破損にも注意します |
| 真夏の日中・真冬の早朝 | 外気温が室温より不利な時間帯は、開けるほど冷暖房の効きが落ちます。涼しい朝、暖まった昼にずらします |
| 北側で日が当たりにくい | 雨の日や梅雨どきは、湿った外気が入って結露やカビにつながることも。除湿と換気扇のほうが確実です |
もうひとつ、防犯の話も添えておきますね。浴室やトイレの小窓、外から見えにくい一階の窓は、開けたまま出かけないこと。網戸だけで長時間留守にするのも避けたいところです。安心して眠れる家であることは、どんな方位の吉凶よりも先に来ます。

開けない窓にも、できることがあります
開けないと決めた窓を、そのまま忘れてしまうのはもったいない。風水では、使われない場所にほこりがたまると、その一角の氣が重くなると考えます。開けない窓ほど、次の三つを心がけてみてください。
- 光は通す:カーテンやレースは開けて、日中の明るさを室内に届ける
- 月に一度は拭く:ガラスとサッシの溝。溝の砂や落ち葉は、水はけを悪くする原因にもなります
- 出口を別につくる:その部屋のドアを開けて、換気扇のある水まわりまで空気の通り道をつなぐ
窓を開けられない部屋でも、家全体で見れば入口と出口はつくれます。閉じているのは一枚の窓であって、家の呼吸そのものではないのですね。
今日のひとこと行動
家の窓を順に見てまわり、「毎朝開ける窓」を二か所と、「開けなくていい窓」を一か所、決めてみる。
決めてしまえば、毎朝の迷いがなくなります。開けない窓は、そのぶん拭いて、光を通す。それだけで、その一角の氣は軽くなっていきます。
九月に入っても残暑と台風の季節が続きます。窓辺の作業は涼しい時間に、風の強い日は無理をせず。体調のすぐれない日は、カーテンを開けるだけでもじゅうぶんですよ。

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士
建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール


