天地結 まほろばや

住まい2026.09.08読了目安 4

風水は、家の外の状況がとても大切——間取りより先に見る「巒頭」

文:Ray光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点

  • 風水では家の外の環境を「巒頭(らんとう)」と呼び、間取りより先に見ます
  • 道路・隣家・電柱・川・高低差。外の状況は、日照や通風や排水と地続きです
  • 内見は晴れた昼だけでなく、雨の日と夜にも同じ道を歩いてみる
  • すでに住んでいる家でも、外との関係は整えていけます

引っ越し先を探すとき、まずは間取り図を広げますよね。私も設計の仕事では図面から入ります。けれど風水では、間取りより先に見るものがあります——家の外です。今日は、その「外の見方」を建築の実務と重ねてお話しします。

風水が最初に見るのは、家の外側です

風水には大きく二つの見方があります。方位や時期を数で読む「理氣(りき)」と、目に見える地形や環境の形を読む「巒頭(らんとう)」です。風水では、この巒頭を土台に置いて考えます。山の形、水の流れ、道の走り方、周りの建物。まず土地の姿を読んでから、方位の話に進む——そういう順番です。

建築の側から見ても、これはとても自然な順番です。私は設備設計を仕事にしていますが、日照・通風・排水・地盤・道路との高低差といった設計の前提は、ほとんど敷地の外側で決まります。冬の日の入り方は南側の建物の高さが決め、風の抜けは街区の形が決め、雨水の行き先は道路の勾配が決める。図面の中だけで完結する家は、ひとつもありません。

巒頭と、敷地調査。呼び名は違っても、見ているものはかなり近いと私は考えています。

水の行き先を決めているのは、土地の高低差です

引っ越し前に、外を歩いて確かめたいこと

内見のときは、部屋に入る前に敷地のまわりを一周してみてください。見るところを、風水の見方と建築の実務の両側から並べてみます。

見るところ巒頭の見方建築の目で見ると
前面の道路ゆるやかに家を抱くような道をよしとし、正面に突き当たる道は勢いが強いと考えます交通量と騒音、砂ぼこり。歩道の有無と、車の出入りのしやすさ
道路との高低差高すぎても低すぎても落ち着かないと考えます敷地が道路より低いと雨水が入りやすくなります。側溝と排水の経路を確かめます
隣家との距離と高さ大きく迫る建物は圧を生むと考えます南側の建物の高さで、冬の日照時間がはっきり変わります
電柱・支柱・標識玄関の正面に立つものは、氣の入口をふさぐと考えます引き込み線の位置、駐車のしやすさ、道への見通し
川・水路・池家を抱くように流れる水をよしとし、背を向ける流れは力が弱いと考えます水位と護岸、地域のハザードマップを見ておくと安心です
土地の成り立ち埋めた土地・削った土地は、落ち着くまで時間がかかると考えます旧地名や古い地図、造成の履歴。地盤の話は専門の調査に委ねます

そして、もうひとつ大切なことがあります。同じ場所を、条件を変えて歩くことです。晴れた日の昼だけでは、その土地の半分しか見えません。雨の日に行けば水たまりの位置で水の道がわかりますし、夜に行けば街灯の届き方と静けさがわかります。平日の朝なら、通勤通学の人の流れが見えます。可能なら二度、三度。それだけで、判断の材料はぐっと増えます。

同じ道を、時間帯を変えて二度三度歩いてみる

いま住んでいる家でも、外との関係は整えられます

外の状況は選べない、と思われるかもしれません。けれど、外との「関わり方」は今日から変えられます。

  • 玄関を出て振り返る:正面に何が見えるかを確かめます。風水では玄関は氣の入口ですから、そこに何が向いているかを知っておくだけで、置くものの判断が変わります
  • やわらかく受ける:正面に電柱や駐車場があるなら、生垣や鉢植え、格子、すりガラスで視線をひと呼吸ぶん和らげる。遮るというより、和らげる感覚です
  • 水の道を通す:雨どい、側溝、玄関まわりの排水口。落ち葉と砂を取るだけで水はけが戻ります。風水でも、よどんだ水のそばは氣が重くなると考えます
  • 足元を明るくする:門から玄関までの数歩に灯りがあると、帰ってきたときの心持ちが変わります

外構は、家と外の世界の「あいだ」にある部分です。ここを手入れしておくと、家に入るときの切り替えがなめらかになります。玄関の中を整えるのと同じくらい、外の数歩は効いてくれます。

今日の問いかけ

あなたの家は、外から見たときにどんな表情をしているでしょうか。

一度、道の向かいに立って自分の家を眺めてみてください。毎日出入りしているのに、正面から見たのはいつ以来でしょう。見えてきたものが、次に整える場所を教えてくれますよ。

白露を過ぎて、朝晩の空気が少しひんやりしてきました。外を歩いて確かめる季節としては、ちょうどよいころです。日中はまだ暑さが残りますので、水分を持って、無理のない時間帯にどうぞ。

Ray

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士

建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール

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