天地結 まほろばや

暮らしの知恵2026.09.24読了目安 5

引っ越しの「良いタイミング」——暦と段取り、二つのものさしで決める

文:Ray光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点

  • 暦は禁止の表ではなく、追い風の向きを教えてくれる週間天気予報のようなものです
  • 三元九運・二十四節気・月の満ち欠け。大中小、三つの大きさのリズムがあります
  • 工事の工程と引っ越し業者の繁忙期という、現場側の事情も日取りを左右します
  • 動かせない予定で幅を決め、その幅の中から暦で選ぶ。この順番だと迷いません

引っ越しの日取りを決めようとして、カレンダーと暦を何度も見比べているうちに、気に入っていた部屋が埋まってしまった——そんなお話をときどき伺います。日を選ぶことと、動けなくなることは、紙一重なんです。今日は、暦のものさしと、現場で見てきた段取りのものさし、その両方から日取りの決め方をお話ししますね。

暦は、旅行の前に見る週間天気予報です

まず、暦との付き合い方から。私は暦を、旅行の日を決めるときの週間天気予報のようなものだと考えています。晴れの日を選べたら気持ちがいい。でも雨マークの日に旅行へ行けないわけではなくて、傘を持っていけばいいだけです。暦も「この日は動いてはいけない」という禁止の表ではありません。追い風がどちらから吹いているかを教えてくれる、目安の表です。

風水で使う時間のものさしは、大きく三つの大きさがあります。

いちばん大きいのが三元九運。20年ごとに時代の傾向が移り変わるという考え方で、2024年からの20年は第九運にあたります。次が二十四節気で、太陽の位置を24に分けた、およそ15日ごとの区切り。立春や秋分といった節の入りは、季節がひとつ入れ替わる境目です。いちばん細かいのが月の満ち欠け。風水や東洋の暦では、新月は何かを始めるとき、満月は満ちて仕上がるときと考えます。

三つとも見ようとすると頭が混みあいますから、引っ越しなら二十四節気と月のリズムの二つで十分だと私は思っています。節が替わったばかりで、新月に近い日。それだけで候補はぐっと絞れますよ。

暦は眺めるより、書き込んで決めるためのもの

現場には、現場のカレンダーがあります

ここからは一級建築士としての話です。暦が整っていても、現場の都合と噛み合わないと日取りは動きません。引き渡しや工事には、季節ごとの事情があるんです。

時期引っ越しの現場では工事・手入れの面では
3月下旬〜4月上旬年間でいちばん混みあう時期。希望日が取りにくく、費用も上がります新築の引き渡しが集中し、設備工事の日程調整が難しくなります
6月〜台風の時期荷物や段ボールが濡れやすく、養生の手間が増えます塗装や外構は雨で工程が延びやすく、完了日が読みにくくなります
7月〜8月搬入作業の暑さ対策が要ります。作業時間も長引きがちですエアコンの設置依頼が重なり、取り付け待ちが出ることがあります
11月〜2月比較的落ち着いて日を選べる時期です寒い地域では、気温が低い日に塗装や左官が止まることがあります

つまり「暦の上で良い日」が、そのまま「荷物が濡れず、工事が間に合い、業者さんが確保できる日」とは限らないんです。暦だけで日を決めて引き渡しに間に合わず、二度手間になる。そのほうが住みはじめの気持ちには響きます。

風水では、入居してからの家の氣は、住む人の手の入れ方で育っていくと考えます。日取りは出発点であって、全部ではありません。

決める順番——枠を先に、暦はその中で

迷いが長引くのは、暦から先に見るからなんです。順番を逆にすると、すっと決まります。

  1. 動かせない予定を書き出す——今の住まいの契約の区切り、お子さんの学期、仕事の山場、工事の完了予定日。この4つくらいで十分です
  2. 動ける「幅」を取る——書き出した予定の隙間に、2〜3週間の幅を見つけます。一日ではなく幅で考えるのがコツです
  3. その幅の中だけで暦を見る——節が替わった後の日、新月に近い日、六曜を気にされるならそこも。幅の中で選べば候補は数日に絞れます
  4. 選べない年もあると知っておく——幅の中に良い日がなければ、そこは割り切ります

ここがいちばんお伝えしたいところです。完璧な一日を待つよりも、決めた日を良い日にするほうが早い。 入居前に窓を全部開けて空気を入れ替える、玄関から先に拭く、はじめの一週間は玄関まわりを毎日整える。それだけで、新しい住まいの氣の流れは立ち上がっていきます。

引っ越し先の環境そのものが気になる方は、日取りより先に家の外を歩いてみてください。道の向き、高低差、隣の建物の高さ。そちらのほうが暮らしへの影響はずっと大きいですよ。

決めた日から、その家との時間が始まります

今日のひとこと行動

カレンダーを開いて、引っ越しの「動かせない予定」を3つだけ書き出してみる。

3つ書くと、動ける幅が自然に浮かび上がってきます。暦を見るのは、その幅が見えてからで大丈夫。順番を変えるだけで日取りが決まることは、本当によくあります。

秋分を過ぎて、朝晩の空気がはっきり冷たくなってきました。秋も転勤で、引っ越しの小さな山がくる季節です。荷物を運ぶと汗をかいて、そのあと一気に冷えますから、羽織るものを一枚、玄関のそばに掛けておいてくださいね。体のだるさが続くようなときは無理をせず、気になるときは早めに専門家にご相談ください。

Ray

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士

建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール

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