住まい2026.10.17読了目安 4分
階段と廊下は「家の血管」——通りをよくする3つの習慣
文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点
- 階段と廊下は、部屋と部屋をつなぐ家の血管。人も光も空気も、ここを通って家じゅうに届きます
- 通り道に物を置かないのは、氣の巡りのためであり、つまずかないための安全の基本でもあります
- 階段は、家の中で空気が上下に動く縦の通り道。手すりをひと拭きして、上と下の窓を少し開けてみる
- 夜は足元に低い灯りをひとつ。まぶしくない光が、段差と床の境目を教えてくれます
階段の端に置いた洗濯物のかご、廊下に寄せたままの段ボール。「とりあえず」のつもりが、いつの間にか定位置になっていませんか。今日は、毎日通るのにあまり目を向けない階段と廊下を、「家の血管」として見直すお話です。階段のないマンションでも、廊下に置き換えて読んでみてくださいね。
通り道は、家の血管です
血管は、体のすみずみまで栄養と温かさを運ぶ道です。どこか一か所が細くなると、その先まで届きにくくなります。
家の中で同じ役目をしているのが、階段と廊下です。玄関から入った人は、廊下を通って居間へ、階段を上って寝室へ向かいます。人だけではありません。窓から入った光も、開けた窓から入った風も、この通り道を伝って家の奥まで届きます。
風水では、階段と廊下を、部屋と部屋をつなぐ氣の道と考えます。部屋がどれだけ整っていても、そこへ向かう道が細くなっていれば、家全体の巡りは重たくなる。通り道は部屋より目立たないぶん、整えたときの変化が大きい場所なんです。
床全体の話は以前の記事でお伝えしたので、今日はこのつなぎ目に絞ってお話ししますね。

階段と廊下が、こもりやすい理由
設計の目で見ると、階段と廊下には、こもりやすい理由がそろっています。
まず、窓が少ないこと。部屋の外側に窓をとると、廊下や階段は家の内側に残りやすく、昼でも薄暗くなりがちです。次に、人が立ち止まらないこと。通るだけの場所なので、ほこりや物に気づきにくい。そして、物の通過点であること。二階へ運ぶ途中、片づける途中の物が、つい置かれてしまいます。
もうひとつ、階段ならではの役目があります。温かい空気は上へ、ひんやりした空気は下へ動きます。階段は、その上下の動きが起きる家の中の縦の通り道なんです。階段まわりの戸を閉め切ったり、上の窓を物でふさいだりすると、二階に熱や湿気がこもりやすくなります。
通りをよくする3つの習慣
むずかしいことはありません。物・空気・明るさの三つを、それぞれひとつずつ整えます。
| 習慣 | やること | 建築の目から見た効きどころ |
|---|---|---|
| 物を置かない | 階段の段と廊下の床から、物をすべて上げる | 足元の物は、つまずきのいちばんのもと。両手に荷物を持つ階段ではとくに |
| ひと拭きと風 | 手すりを乾いた布でひと拭き。上と下の窓を少し開ける | 手すりがさらりとしていると、自然と手を添えたくなる |
| 足元を明るく | 夜は廊下や階段の下の方に、低い灯りをひとつ | まぶしさを抑えた低い光は、段差と床の境目がよく見える |
物を置かない習慣は、まず階段の段の上から始めてみてください。「上へ持っていく物」を段の端に置く習慣は、とても多いものです。かごをひとつ決めて、階段の下の、通り道をふさがない脇にまとめるだけでも、段の上はすっきりします。
手すりは、毎日いちばん手が触れるのに、いちばん拭かれていない場所かもしれません。乾いた布でひと撫ですると、木の手すりならやわらかな艶が戻ってきます。
足元の灯りは、天井の照明をつけるより手軽です。人の動きに反応してつくタイプや、コンセントに差すだけのものもあります。階段なら、上がり口と降り口、両方の段差が見える位置に置くのがコツです。マンションの廊下なら、玄関から寝室までの途中にひとつあるだけで、夜の歩きやすさが変わりますよ。寝室を出る前に枕元の灯りをつけ、廊下の足元灯へと、灯りをリレーするようにつないでみてください。

今日のひとこと行動
今夜、寝室から廊下、階段の下まで歩いて、足元の灯りを置く場所をひとつ決める。
場所が決まったら、昼のうちにその通り道を端から端まで歩いてみてください。足元に物がなく、手すりがさらりとしていて、足が迷わず前に出る。それが通りがよくなったしるしです。人がすっと歩ける道は、光も風も、そして家の氣も通りやすい道だと私は考えています。
明け方の廊下の床が、ひやりと足に冷たく感じられるころになりました。冷えた体は思うより足が上がらないもので、寝起きのふらつきやめまいが気になる方は、かかりつけの医師にも一度話しておくと安心です。夜中に通るときは、灯りをつけて、手すりに手を添えてから一段目へ。

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士
建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール