お金・仕事2026.10.20読了目安 4分
収入の柱を「建てる」順番——大黒柱と、支える柱の話
文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点
- 家は柱から建てません。最初に据えるのは土台。暮らしとお金も、まず足元から整えます
- 大黒柱ひとつで家は立っていません。重さはまわりの柱と分け合って支えています
- 整える順番は「土台→大黒柱→支える柱」。新しい柱は、土台と大黒柱が落ち着いてから
- お金の具体的な判断は、税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家と一緒に
「何かもうひとつ、収入の柱を持ったほうがいいのかな」。ニュースや知人の話を聞くたびに、そんな思いがよぎることはありませんか。今日は、柱を増やすかどうかの前に、柱を建てる順番のお話をしますね。
家は、柱から建てません
家づくりというと、柱がすっと立ち上がる場面を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実際の現場では、柱が立つ前に長い時間があります。地面を整え、コンクリートの基礎をつくり、その上に土台となる木を据える。柱はそのあとです。
四半世紀、家づくりの現場に通ってきて、いまも好きな瞬間があります。灰色の基礎の上に土台の木が並ぶと、まだ壁も屋根もないのに、ふっと木の香りが立ちのぼるんです。その香りをかぐたびに、ここから家になっていくんだな、と感じます。
家の強さは、見えないところで決まる。
暮らしとお金も、同じだと私は考えています。新しい収入の柱を建てたくなったときほど、まず足元を見てあげてください。毎月かならず出ていくお金がいくらか。いざというときの蓄えがどれくらいあるか。そして、働き続けられる体と気持ちの余裕があるか。ここが家でいう土台です。

大黒柱ひとつで、家は立っていません
昔の家の真ん中には、ひときわ太い大黒柱が立っていました。ただ、家の重さをその一本だけで受けているわけではありません。屋根や床の重さは、家じゅうに並ぶほかの柱と分け合って、土台から基礎へ、そして地面へと伝わっていきます。どれか一本に重さが集まりすぎないように配置するのが、設計の基本なんですよ。
収入にあてはめると、大黒柱は本業やいちばん大きな収入です。支える柱は、得意なことを生かした小さな仕事や、家族それぞれの働き方。一本にすべてを預けるより、重さを分け合えるほうが、家計はぐらつきにくくなる、と私は考えています。
風水では、氣は一か所に偏らず、家全体にまんべんなく巡ることを大切に考えます。柱の多さを競うのではなく、重さが偏らないこと。それが、私の考える収入の整え方です。
柱を建てる、三つの順番
順番を表にすると、こうなります。
| 順番 | 家づくり | 暮らしとお金 |
|---|---|---|
| 1 | 土台を据える | 毎月の支出と蓄え、体の余裕を把握する |
| 2 | 大黒柱を立てる | いまの本業やメインの収入を落ち着かせる |
| 3 | 支える柱を足す | 小さく試せる仕事や働き方を、一本ずつ |
- 支える柱は、一本ずつ——収入の柱は、一度に何本も立てると、どれも支えになりません。一本がまっすぐ立ってから、次を考えます
- 大黒柱を削らない——新しいことに夢中になって、本業や体を削っていないか。ときどき振り返ってみてください
- 細い柱でかまいません——はじめから太い柱を目指さず、細い柱を何本か並べて、屋根を分け合えばいいと考えています
暦の上では、秋の土用に入るころ。風水では、土用は新しく始めるより、いまあるものを整えるのに向く時期と考えます。土台を見直すには、ちょうどよい季節です。
なお、副収入には税金の申告や社会保険が関わることもありますし、勤め先によっては副業についての決まりがあることもあります。どんな柱を、どのくらいの太さで建てるかは、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら決めてくださいね。この記事でお伝えしたかったのは、建てる前に足元を見る、ということです。

今日のひとこと行動
毎月かならず出ていくお金を三つだけ書き出して、わが家の「土台」の大きさを、ざっくり知っておく。
正確な数字でなくていいんです。土台の大きさがわかると、どんな柱をどれくらい建てればいいのかが、ぐっと見えやすくなります。
店先に新米が並ぶ季節になりました。炊きたてのごはんの湯気を囲む食卓は、いちばん身近な、暮らしの土台なのかもしれません。実りの季節の味をゆっくり味わって、体という土台もいたわってあげてくださいね。

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士
建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール