天地結 まほろばや

お金・仕事2026.09.30読了目安 4分

お金は「通り道」が好き——貯めることと、巡らせること

文:Ray(光の大黒柱建て師・一級建築士)

この記事の要点

  • 設備設計では、水を溜める槽と流す配管をセットで考えます。溜める設計は、使うことが前提です
  • 貯めることは巡りの反対ではありません。頼れる蓄えがあるから、安心して出せるようになります
  • 風水では、氣は動くところに巡ると考えます。使われない通り道は、少しずつ細くなっていきます
  • 出口は三つに分けて先に決める。入口は「受け取る」を素直に。それだけで流れは軽くなります

残高は特に減っていないのに、お金のことがずっと頭の隅にある。使えば落ち着かないし、貯めても落ち着かない——そんな感覚はありませんか。今日は節約か贅沢かという二択の話ではなく、お金が通っていく道のお話をしますね。

溜める槽と、流す管はセットです

マンションには、水をいったん溜めておく受水槽という設備が置かれることがあります。溜めるための槽ですが、設計するときに私が見るのは容量の大きさではありません。その家々で一日にどれだけ使われるかのほうです。使う量に対して槽が大きすぎると、水が長く留まって水質を保ちにくくなる。だから「たっぷり溜めておけば安心」とは考えません。

溜める設備は、使われることを前提に大きさが決まります。そして溜めた水は、給水管を通って蛇口まで届き、使われたぶんだけ新しい水が入ってくる。溜めることと流すことは、はじめから一続きの仕組みなんです。

風水でも、お金はよく水にたとえられます。動いている水は澄み、動かない水は濁っていく。だからといって「貯金はよくない」というお話ではありません。むしろ逆で、頼れる蓄えという槽があるからこそ、安心して出せるようになります。貯めることは、巡りの反対側にあるものではないんです。

蛇口の先にも、見えない通り道があります

使わない通り道は、細くなります

しばらく使っていなかった洗面台から、なんだか下水のような匂いが上がってきた——そんな経験はないでしょうか。あれは排水口の下にある曲がった管に、水がほんの少し溜まってふたの役目をしているのに、使わない日が続いてその水が蒸発してしまうために起こります。毎日使っていれば、水は勝手に入れ替わってふたが保たれる。通り道は、通ることで保たれるんですよ。

お金も似たところがあります。出す先も受け取り方も決めないままでいると、出入りそのものの感覚が鈍くなっていきます。買うのが怖い、でも欲しい。もらうのが申し訳ない、でも嬉しい。そうして両方をぼんやりさせたまま、財布の中だけが行ったり来たりする。

風水では、氣は動くところに巡ると考えます。動かない場所に氣が留まりやすいのは、家の中でも、お金でも同じことだと私は考えています。

出口を三つに、入口をひとつ広く

では、どう通り道をつくるか。私がおすすめしているのは、出口を先に決めてしまうやり方です。

  • 出口を三つに分ける——「暮らしを回す出口」「人に渡る出口」「未来に渡す出口」。三つめが貯蓄です。貯めるのも、りっぱな出口のひとつだと考えてください。行き先が三つに分かれると、使うたびの罪悪感が減ります
  • 金額より先に、日にちを決める——給料日の翌日、月のはじめ。決めた日に三つの出口へ先に分けておくと、残ったぶんで迷う時間がなくなります。余ったら貯める、では槽はなかなか満ちません
  • 入口は「受け取る」から——お礼を言われたら「よかったです」と受け取る。お裾分けをいただいたら遠慮しすぎない。入口を細くしているのは、案外、自分の遠慮だったりします

なお、どこにどう蓄えるか、増やし方をどうするかは、ご家庭の事情によって答えが変わります。そこは金融の専門家に尋ねてくださいね。私がお話しできるのは、通り道のかたちまでです。

出ていく先が決まると、流れは静かになります

今日のひとこと行動

この一か月に出ていったお金のうち、「これは気持ちよかった」と思える一件を、ひとつだけ思い出してみてください。

金額の大小は関係ありません。その一件が、あなたのお金がいちばん気持ちよく通る道です。次に迷ったとき、その道を思い出せるだけで、選ぶのがずいぶん楽になります。

明日から十月。引き落としやお買いものを振り返るには、ちょうど区切りのよいころですね。朝晩の洗いものの水も、少しずつ冷たくなってきました。そのあとはぬるま湯で手を温めて、クリームをひとつ流しのそばに置いておくと、指先がずいぶん助かります。

Ray

Ray光の大黒柱建て師/一級建築士

建築の実理と風水の知恵で「家と心」をともに整える、天地結まほろばや主宰。プロフィール

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